「小熊座」2011年10月号から。
走り梅雨鳩サブレーが割れている 高野ムツオ
其処に彼処にありたる家の軋む夏
瓦礫より出て青空の蠅となる
残りしは西日の土間と放射能
どうも被災地以外では震災は忘れられつつある雰囲気もあるのだが、拙宅の周囲もまだ瓦礫が残っていて、直っていない家屋や取り壊し現場がいくらもある。いわんや東北においておや。
土星の輪火星の運河たうがらし 大場鬼奴多
向日葵やゴッホ来たりて睡られず 篠原 飄
昼の蚊の声あり遺族控室 関根かな
窓のなき原子炉建屋百日紅 松岡百恵
秋風やちぎって食べる独逸麺麭 安藤つねお
向日葵は王家の裔の顔をせり 秋元幸治
この号、私がちょっと前に週刊俳句に上げた時評「その後の仁義なき震災俳句」が転載されている。
前半は「小熊座」の句を鑑賞しているものの、後半は高橋修宏の第一評論集『真昼の花火 現代俳句論集』に依りつつ鈴木六林男のことを書いているので、その辺は転載ではカットされている。
この稿に関しては山田耕司さんも詩客の俳句時評で取り上げてくれているのだが、今回転載されたものには、後半を略した旨の注記がないので、「小熊座」だけ見た人がこちらを読んだ場合、話がかよくわからなくなるかもしれない。
*****************************************************
robert wyatt shipbuilding
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前は必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。