特に顔見知りの人などがいるわけでもなく、なぜ私のところにまで送ってくれたのかよくわからないのだが歌誌の「町」4号(2010年12月)から抜粋する。
案内状によると「町」は昨年春創刊、早稲田短歌会と京大短歌の有志6人による同人誌とのこと。
参加者の年齢層は編集発行人を務める最年長の土岐友浩が1982年生まれで、最年少は服部真里子が1987年生まれ。全員20代ということになる。
瀬戸夏子の短歌としては珍しい意味不明寸前のイメージの飛躍や、望月裕二郎の「( )」を多用した修辞による悪意の表出が面白い。
祈ること祈らないことしばらくのあいだ真冬の雲を見ている 土岐友浩
牛乳を電子レンジであたためてこれからもつきあってください
海や朝にはあいさつがなく わたしたちには殺人ばかりがあると サンタクロース 瀬戸夏子
画鋲がもっとも苦く てっぺんにあるところ 実朝が バターを塗ったりするまま
太陽はコップから昇り 太陽に指紋がのこる 姻戚がソーダに満ちてくる
世の果ての駐車場から見ておりぬバベルのちんこちょんぎられしを 吉岡太朗
笑ってと言われて困っているような顔の車だ 椎の木の下 服部真里子
地方都市ひとつを焼きつくすほどのカンナを買って帰り来る姉
われわれわれは(なんにんいるんだ)頭よく生きたいのだがふくらんじゃった 望月裕二郎
そのほうがおもしろいのか道草はうまいか絵でいてつらくないのか
穴があれば入りたいというその口は(おことばですが)穴じゃないのか
夕食と生ごみに分離する前の野菜艶やかに売られておりぬ 平岡直子
どのくらい遠ざかったら指先で潰せるサイズになるのかきみは
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