「新歳時記通信」は、驚くべき粘着力で季語の再検証を進める前田霧人氏の個人誌。
今回の第4号ではことに「三十分と三百年」に瞠目した。
《調べれば三十分で分かる季題の誤謬が、十七世紀末より現在に至るまで、三百年以上に渡って受け継がれているという嘘のような本当の話がある。》
『角川俳句大歳時記 夏』に「夏」の傍題として記載されている「蒸炒(じょうそう)」が諸橋轍次の『大漢和辞典』には載っていないというのだ。
『大漢和』では「蒸炒(じょうそう)」の代わりに「蒸炊(じょうすい)」が載っている。
途中を端折ると、前田氏は原典である韓愈の詩を求めて『全唐詩』にさかのぼり、「蒸炒(じょうそう)」は「蒸炊(じょうすい)」の訛伝と突き止めるのである。
なお「新歳時記通信」は全文がインターネット上で公開されている。
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