今日届いた須藤徹氏編集発行の「ぶるうまりん」から句を抜粋する。
社会、歴史、思想、芸術方面のモチーフが多い。句中に「Q」の字が入る作があちこちにあったが、これは句会の兼題ででもあったのだろうか。
核不拡散路地に涼しき染物屋 須藤徹
空蝉に白くかぶせる鉄兜
左に富士右に仏壇立版古
原潜がエステサロンの秋灯へ
川底に鰭這わせ待つ月の宴 永井江美子
二百十日海の鹹さの耳朶を咬む
白葱に砂あたらしき傷みかな
人間に抱かれ氷河を見ておりぬ
夏野にて高屋窓秋逆立ちす 小倉康雄
ブルーテント灯して冬の蛍となる
草いきれ汎ヨーロッパ・ピクニック 土江香子
「汎ヨーロッパ・ピクニック」はベルリンの壁崩壊の直接の始まりとなった歴史的政治集会のこと。
息ひそめ漱石周辺秋灯る
病床の景か。「漱石忌」は冬の季語で12月9日。
あの人は嫌い 布で作った雨蛙 山田千里
ピーマンの空虚に胡坐をかく
電磁波の飛交う厨鯵を裂く 平佐和子
アベルとカイン無花果に指の跡
雲はゆっくり動く西日の投票所 野谷真治
いただいた麦茶通過電車の音がする
哲学をしている南瓜の肌理 吹野仁子
太古の月は大きかったと烏瓜の花
ちよつと孫権みたいな秋の空 二上貴夫
蕎麦がきの嘘泣きどこか乾いてる
還る池はありや庭に蟇棲み付く 成川寒苦
少年の朝立ちのごと大芙蓉
落花生双子が背負うものに岐路 片岡秀樹
内臓の奥の罪まで牛蒡引く
真四角の箱のデッサン梅開く 村木まゆみ
東京のカフェで過ごす梅雨気配
西瓜ごろりビュッフェの線突き刺さる 及川木栄子
大西日ゴリラの鼻紋みなちがう
沈黙や乱反射する芒原 齋藤泉
鶏頭の百八十の倒れけり 高野尚志
社会、歴史、思想、芸術方面のモチーフが多い。句中に「Q」の字が入る作があちこちにあったが、これは句会の兼題ででもあったのだろうか。
核不拡散路地に涼しき染物屋 須藤徹
空蝉に白くかぶせる鉄兜
左に富士右に仏壇立版古
原潜がエステサロンの秋灯へ
川底に鰭這わせ待つ月の宴 永井江美子
二百十日海の鹹さの耳朶を咬む
白葱に砂あたらしき傷みかな
人間に抱かれ氷河を見ておりぬ
夏野にて高屋窓秋逆立ちす 小倉康雄
ブルーテント灯して冬の蛍となる
草いきれ汎ヨーロッパ・ピクニック 土江香子
「汎ヨーロッパ・ピクニック」はベルリンの壁崩壊の直接の始まりとなった歴史的政治集会のこと。
息ひそめ漱石周辺秋灯る
病床の景か。「漱石忌」は冬の季語で12月9日。
あの人は嫌い 布で作った雨蛙 山田千里
ピーマンの空虚に胡坐をかく
電磁波の飛交う厨鯵を裂く 平佐和子
アベルとカイン無花果に指の跡
雲はゆっくり動く西日の投票所 野谷真治
いただいた麦茶通過電車の音がする
哲学をしている南瓜の肌理 吹野仁子
太古の月は大きかったと烏瓜の花
ちよつと孫権みたいな秋の空 二上貴夫
蕎麦がきの嘘泣きどこか乾いてる
還る池はありや庭に蟇棲み付く 成川寒苦
少年の朝立ちのごと大芙蓉
落花生双子が背負うものに岐路 片岡秀樹
内臓の奥の罪まで牛蒡引く
真四角の箱のデッサン梅開く 村木まゆみ
東京のカフェで過ごす梅雨気配
西瓜ごろりビュッフェの線突き刺さる 及川木栄子
大西日ゴリラの鼻紋みなちがう
沈黙や乱反射する芒原 齋藤泉
鶏頭の百八十の倒れけり 高野尚志
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