発行:豈の会(豈叢書)/発売:邑書林
2009年
これも作者にお送りいただいた句集。
イラストレーター霜田あゆ美との出会いから生まれた企画のようで、絵本のような作りの、およそ句集らしからぬ造本装幀の句集。
逢うたび鱗いちまいずつあげる
虎落笛みんなわかくて儚くて
逢うために夢の氷河を泳ぎきる
さむいね魚になれば恋人よ
風花とすこし乱れてみようかな
水仙の香りになってつきまとう
しあわせは痛くなきゃ駄目春の雪
であいとはすいぃとぴぃのさくような
輪廻からふっとはずれて春の雪
恋人はやよいのひかりでできている
しゃぼんだまにつかまっちゃって痛い
きみの瞳に桜ふぶいていて不安
百千鳥ほんじつ恋はおやすみします
まきちらしたばらのはなびらのようなじかん
鳥だった頃の傷でしょ胸の星
ふたりなら莢隠元のなかにいる
ふとももに螢の噛んだ蒼い痕
肉体を脱いであなたのそばにいる
こいびとはすねてひかりになっている
彗星は恋したらしい音信不通
毎日夕焼け 罰のよう
中山美樹(なかやま・みっきぃ)…1947年新潟生まれ。句集『海・ETUDE』『アトランティスの裔』『おいで!凩』『愛しのキッピィ』。
霜田あゆ美…1967年横浜生まれ。イラストレーター。2007年HBファイルコンペVol,17大賞。
コメントを投稿
コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。
アカウント情報
(名前は必須です。メールアドレスは公開されません。)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。