2020年10月
金雀枝舎
『火焔樹』は中谷豊(1936 - )の第1句集。序文:今井聖。
著者は「街」同人。
肋骨の如き雲ゆく春の鳶
ディアスポラ映画観し夜の兜虫
芋嵐デジタルの世に弾かれて
遠くより木琴の音花水木
甘酸つぱい匂ひの兵士芝青む
胡桃菓子齧りて旅の深雪晴
朧夜の北京に食みし蠍かな
春暁を豚肉背負ふ人行きぬ
かなぶんや空母乗員五千人
ベイルートに鈍き槌音蝸牛
肉焙る匂ひに混じるゼラニウム
艦の間を過ぎゆく鯨サンディエゴ
指先に文鳥暮るる春障子
蘭鋳の朝の百態香港島
湧水に七日遊んで焼かるる鰻
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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