『アマタイ句帳』は詩人天沢退二郎(1936 - )の句集。栞文:高橋睦郎、関悦史、吉増剛造。
鈍器註すれば本文の氷柱砕く
異本文(ヴァリアント)腑分け怠る夏の猫
冬は怖し杭毎に鷗の伏せり居り
冬葱をぷつりと断れば環形動物(アンネリダ)
黄色でないタンポポはみな死んだのさ
タンポポを吹けばとびちる髑髏かな
夜行列車の通路を鴉が駈けて行った!
毬藻の如き便出たわよと妻の云ふ
この五月少年少女みな黒衣
紫陽花は鬼面の群に似たるかな
うどんに眼鏡かけたれば蛇らあざわらふ
秋雨あがり滝見る嬰児の頭寒し
腐れ柿にネギ挿せば戦後の廃墟と見ゆ
半島の奥に眠る薔薇の物語
棒女さながらの棒状麵事務所かな
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