『初明り』は鬼頭桐葉(1921 - ?)の遺句集。
著者の所属結社等は記載なし。
足音のそれてゆきけり朧月
花衣ぬぎてもみぬち昼の月
干したての夏ざぶとんで許されよ
あぢさゐを剪りてはゆるく振りにけり
仏壇で満開となる牡丹かな
岡井省二師ご永眠 一句
しづかに降りし緞帳の大花野
大文字死者と生者と糸電話
こゑかけて遺影に松茸土瓶むし
釣り人の遠まなざしに鳥渡る
十六夜の九十媼の影さがす
たが影もなく雪折の音したり
冬田いま夕焼けいろの水たまり
お布団の海鼠となりてぺつたんこ
なつかしや笑ひころげしなまこたち
ゆらゆらと歩みてのべる御慶かな
※本書は版元より寄贈を受けました。記して感謝します。
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