『初音』は織田春美(1933 - )の第1句集。序文:友岡子郷。
著者は「郭公」創刊同人。
緋縅の具足の並ぶ寒さかな
人日の雨静かなり昭和果つ
靄晴るる賤ヶ岳より初音かな
忽と死のあり春宵に瞑る父
彗星を見む沈丁の闇の中
みささぎは風の音のみ初桜
零余子蔓引けばこぼるる一の谷
はまゆふや河口堰より霽れてきし
深悼 飯田龍太先生
甲斐駒に雪のかがやく訣れかな
ほとけ百体雪雲は比叡より
一瀑のこだまを返す鰯雲
灯台に灯の入りたるかぶら鮨
かたつむり大和三山はるかにす
青空の見えゐて雨の濃あぢさゐ
桑いちご熟れみづうみの真珠柵
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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