『十年』は高橋睦郎(1937 - )の、略歴によると9冊目の句集。
摺足に白進み来る初山河
逃ぐる追ふ小露大露遂に寄る (前書「七夕 二句」から)
京都千年梅雨千年をふりにふる
夏至即ち夏の最も暗き日ぞ
この家の人死に絶えぬ葛嵐
山の宿下駄濕れるは霧行きし
十三夜活字放光一箇一箇
水呑みし蚰蜒絢爛の歩を返す
轢き癖の踏切梅雨を鳴りどほし
秋の聲わが聲と知るひとりかな
泳ぐ母見し唯一度夏送る
三十三間堂
千手千體御手百萬や秋のかぜ
夕刊の来ぬ元日のいつまでも
二萬三千五百句皆ちりぢりや西鶴忌
永久四十五(とはしじふご)三島忌修し皆老いぬ
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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