閑中俳句日記（別館） －関悦史－

「草樹」第59号（2015年9月）

　「草樹」（発行：吉田成子）第59号（2015年9月号）から。

　第6回「草花賞」発表あり。


爪立てて剥くに力の夏蜜柑　　　宇多喜代子

青梅雨の雨脚に添ふ和蠟燭　　　沼尻巳津子

遺跡掘る炎暑の影は孤を深め　　　吉田成子

戦なき海平らかに五月来る　　　西澤和子

念入りに水打ち何もなき日なり　　　片山淳子

瀬戸物の地べたに光る昭和の日　　　上田千恵子


一山の芒靡けり死ぬる日も　　　田宮尚樹（草花受賞作20句より）






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Ashley Hribar performs Olivier Messiaen's - Vingt regards sur l'enfant Jésus

 

「鬣」第56号（2015年8月）

　「鬣」（代表：林桂、編集：水野真由美）第56号（2015年8月）から。

　特集は、《飯田蛇笏の俳句空間》。

　外山一機の俳句時評は、昨年亡くなった中烏健二について。




死者若し眼裏に海の色を容れ　　　水野真由美

むら雨や家郷へ続く道久遠　　　丸山　巧


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われ不意に
見知らぬ兵士

昨日、蜩　　　　　　深代　響


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寂(さび)しがる朝(あさ)の兎(うさぎ)よ著莪(しやが)の花(はな)　　　林　　桂

夕焼け消えぬから枇杷の首折って剥く　　　萩澤克子

織田君は今朝も玉子と口喧嘩　　　永井一時


　　　＊


あいしるぼくら
てつなぎねむる
ろつてりあ　　　　　　外山一機


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月あをく

蝶は
失神しつつあり　　　　　　中里夏彦


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鶏小舎に鶏の居なくて藤垂るる　　　関口まさを






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Cecil Taylor Trio 1995

 

「陸」2015年10月号

　「陸」（発行：中村和弘）2015年10月号から。

　「テーマを詠む」欄は「戦争・平和」。


艦船の波もまじりて盆の波　　　中村和弘


蛸一匹這ひ出る露店雲の峰　　　山本一糸

鯉のぼりの目のくつきりと古墳群　　　大石雄鬼

父は世界の終わりのように苺つぶす　　　瀬間陽子

草ロール白く転がり明易し　　　當山孝道

ゆつくりと集団的な梅雨が来る　　　泉　風信子

ショベルカー一台灼くる実家跡　　　石井公子

少年のゆまりは夢かひつじ草　　　佐々木貴子






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Astor Piazzolla - Live at The Montreal Jazz Festival (COMPLETO )

 

「小熊座」2015年10月号

　「小熊座」（発行：高野ムツオ）2015年10月号から。

　小熊座創刊30周年記念座談会2を掲載。

　栗林浩「昭和・平成を詠む」連載第3回は橋爪鶴麿へのインタヴュー前編。



亀の国ありて亀消ゆ日の盛り　　　高野ムツオ


中国産鰻の肝や杳として　　　渡辺誠一郎

老骨を叩きて灼ける町ににおり　　　越高飛騨男


地べたに杭杭に針金大西日　　　松岡百恵

パンの木を見上げ八月十五日　　　中村　春






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Ryuichi Sakamoto - Trio World Tour 1996

 

「麟」第54号（2015年10月）

　「麟」（代表：山下知津子、編集：駒木根淳子）第54号（2015年10月）から。

　特集は「染谷佳之子の詠む戦争――火蛾」。



黒猫も梅雨の過客でありにけり　　　山下知津子

憲法九条炎帝は守り通す　　　飯野きよ子

抗鬱剤抗不安剤濃紫陽花　　　駒木根淳子

強行採決蝉時雨極まれり　　　野口明子


自分史のはじめ三月十日の炎　　　染谷佳之子（特集より）

線香花火戦火のにほひよみがへる

ヒロシマ・ナガサキ以後を迂闊に踊りゐし


　　難民たりし看護学校生Ｓ
新しき国籍氏名進級す　　　山下知津子（特別作品）






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Chopin Etude Op 25 No.12 Valentina Lisitsa

 

「堊」2015年10月号

　「堊」（発行：高石直幸）2015年10月号から。



白頭の翁ゐるかと小鳥来る　　　高石直幸


旅に持つ利休百首の歌扇　　　山角和代

分校の机の上の蟇　　　鈴木実千代

手折りては松明のごと鶏頭を　　　石坂富起子

 

 

 

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Archie Shepp @Jazz_In_Marciac : Dimanche 9 août 2015

 

「秋草」2015年10月号

　「秋草」（発行編集：山口昭男）2015年10月号から。


その人の母と話して天の川　　　山口昭男

うなじよりかんばせくらき踊かな


蟻ぎつしり伝ふ芋の葉動かざり　　　宗方やよい

梅雨茸遠心力の湧いて来し　　　岡村りつ子

トンネルの口のあたりの葛の花　　　小山尚子

蜜豆や向き合ふ椅子は小さくて　　　中西　愛


　《波多野爽波先生の奥様波多野敦子様が九月一日逝去されました。謹んでお悼み申し上げます》との「謹悼」あり。






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Barber: Adagio for Strings, Original Version, Dover Quartet

 

「静かな場所」No.15（2015年9月）

　「静かな場所」（発行：対中いずみ）No.15（2015年9月）から。



灼けてゐる車のすでに昔めく　　　鴇田智哉（招待作品）

舟虫に煙草の箱は墓のやう


岸を打つ音のかすかに春の水　　　満田春日

風邪の子の聞き耳たててゐたりけり　　　森賀まり

壬申の乱をはるかに麦青む　　　対中いずみ

水遊び濡れて濃くなる服の色　　　木村定生






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Laurie Anderson - Language Is A Virus (From Outer Space)

 

「陸」2015年9月号

　「陸」（発行：中村和弘）2015年9月号から。


上げ潮は芥をのこし夏盛り　　　中村和弘

鮫を食うわが海彦を尊べり


わだつみの灼けたる碇誰も触れず　　　大類準一（特別作品）


さえずりやコロラド川の音かすか　　　當山孝道

冷奴祖父の血筋といふ他人　　　泉　風信子

少年の出自はシャーレ実梅捥ぐ　　　岩崎嘉子

少年に戻つてゐたよ黒揚羽　　　米川五山子

黒スーツこそ艶めけり初夏の駅　　　今田　述

アトリエに二百号の裸婦風死せり　　　牧ひろし

木漏れ日や千の鈴よりこぼれたる　　　佐々木貴子






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INXS - Mediate

 

「船団」第106号（2015年9月）

　「船団」（代表：坪内稔典）第106号（2015年9月）から。

　特集は「わたしの城下町」、船団会員による俳句とエッセイ。。

　以下、第7回船団賞受賞作と候補作から1句ずつ。



トイピアノ本気で弾くよ青嵐　　　秋月祐一（船団賞受賞作より）

遮断機は境界線よ花吹雪　　　河野けいこ（以下、船団賞候補作より）

早春を前後左右にフラフープ　　　児玉硝子

フリーターばかりだ今日の月見会　　　早瀬淳一

スリッパでどこまでも行く十三夜　　　小西雅子

地虫出てべっこう飴の透きとほる　　　藤井なお子

若き日の父母に食欲盆提灯　　　原　ゆき






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INXS - What You Need