『烏律律』は安井浩司(1936 - )の、「句篇(全)」を完結させた句集『宇宙開』に続く新句集。
大理石成長かすかに少女像
春あらし大地の老婆を拡げんと
燃え果てるまで藁人形に籠るひと
夜ごと少年蕁麻(じんま)の神に抱かれたり
龍巻は己が巨卵を抱き去るや
天笑や尻出して逃ぐ童ども
ふらここの高む瞬間処刑すや
ぽつねんと三角獣(トリケラトポス)に坐す我か
能面のミルトン現わる花嵐
春野来る予言の生首板にのせ
眼窩より雲湧く鬼城の頭蓋骨
風狂な人面鯉を茹でるかな
静物が盆に溢れて秋の家
月あかり隣家の老婆の舞姿
いちめんに宇宙の静脈秋初(あきは)月
※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。
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